管理スタッフからの現場レポート
漏水トラブルを上手く解決する方法
4月入社の新人を迎えてのスタッフミーティング。「漏水トラブル」についてレクチャーしました。
A:今日のテーマは「漏水トラブル」。
漏水は原因によって対処が異なるし、その原因が簡単に分からないケースもあるし、なによりスピードが要求される
という重要な業務だね。
自主管理の大家さんは漏水トラブルが一番大変だと思うね。
新人:でも大家さんは、業者を手配すれば済むのでは︖
A:そう簡単ではないよ。手配しても、そのあとを任せっきりにすることはできない。
日程調整や在宅のお願いなど、入居者さんと業者の間を取り持つ必要がある。
漏水トラブルの対処で大事なことは入居者さんの感情をケアすることだからね。
C:漏水には僕たちの小修理で直るものから、足場をかける大規模なものまで
パターンによって対応テクニックが求められる。漏水に上手く対処できるようになったら一人前だね。
B:まず漏水トラブルは、「躯体や設備が原因の雨漏り・水漏れ」と、「入居者さんが原因の水漏れ」に大別できる。
新人:「躯体からの雨漏り」の原因は何ですか︖
B:ごく稀に新築マンションでも施工不良があるけど、多いのは躯体の老朽化による雨漏りだね。
通報を受けてすぐに現場に行っても、まだ雨が降ってる最中だと、原因を特定するのは難しいことが多い。
新人:じゃ、行っても無駄になりますね。
A:そんなことはないよ。入居者さんの感情を落ち着かせることが重要なんだ。まずは雨漏りをバケツで受ける
濡れた箇所を拭くなど、現場でできる応急手当をする。そして現状と今後の修復の流れを入居者さんに説明する。
とにかく先行き不安な入居者さんを少しでも安心させることが大事。
そして業者に連絡して現状を説明、現場に来る日時を決める。
もし応急処置できることがあるならすぐに来てもらうなど、やることは沢山あるし重要なことばかり。
B:その後は専門家の見立てを確認して修復工事を決めることになるね。
大家さんへの報告と、大家さんが加入している保険の確認、保険会社への連絡など。
入居者さんへの状況説明はなるべく細かく行った方がいい。
C:工事をしても、つぎの大雨でまた雨漏りする、ということもあるよね。
そんなことが続くと入居者さんの不満が高まって本当に困るよね。
B:困るけど、僕らは雨漏り自体は直せないので、間に入って調整するしかないわけだ。
本当に大雨の日は雨漏りの通報がないことを祈るよね。
新人:そうやって解決させるうちに経験則が増えるのですね。
つぎの、設備の不良による水漏れとは︖
C:原因は老朽化や、リフォーム工事で起こるケースもある。
設備の水漏れは「排水」と「給水」に分かれるけど、特にトイレや台所の排水から漏れる水は不衛生でしょ。
だから入居者さんの不満は大きいよ。
B:給水も突発的に起こると被害が大きいけどね。
C:このケースの対処は、基本は雨漏りの時と大きくは変わらない。
すぐに現場で応急処置。もし自分のスキルで直せるならその場で処置できるところが雨漏りと違うかな。
専門家の出番と判断したら依頼する。なるべく時間を空けずに来てもらう、というカンジ。
B:階下まで漏れるケースもあるので、すぐに降りて確認する必要があるし、もし留守で緊急性が高いときは
連絡して入室の許可を得て室内に入ることもある。
新人:階下の方は許可してくれるのですか︖
B:嫌がる人もいるけど、最悪は家具などが水浸しになってしまうことを説明して説得するよ。
そのとき必ず複数で入室すること。大家さんに同行してもらうこともある。
新人:「入居者さんが原因の水漏れ」は︖
C:入居者発の漏水は、台所や浴室の水を出しっぱなし、洗濯機のホースが外れた、トイレを詰まらせた
とかあるけど、原因が分かりやすい、という特徴があるね。
B:この場合は、被害の把握とその修復工事、そのための業者手配と大家さんへの報告
入居者さん加入の保険処理、というカンジかな。
C:階下の部屋にまで水が漏れているときは、その入居者さんの手当もありますね。
このケースの一報は、階下の入居者さんから入ることも多いですし。
B:入居者さんから、「天井から水が滴っている」と通報があったとき
上の階が留守だったので許可をもらって室内に入ったことがあるよ。
電話したら「あ、お風呂が出しっぱなしだったかも」と悲痛な声を出していたね。
過失を認めたので保険が使えて一件落着となったけど。
A:漏水トラブルは多種多様で、経験を積んだ我々でも体験していないことが起こるし
すべてを説明するのは難しい。
とにかく即対応して解決するわけだけど、もうひとつ「漏水を未然に防ぐ」という意識も重要だよ。
新人:未然に防ぐことができるのですか︖
B:それが賃貸管理の大事な役割だからね。そのために定期的に躯体や設備を点検して
もし不安がある箇所があって、修繕や取替える必要があれば提案する。
渋る大家さんを説得する場合もある。
もうひとつは、入居者さんに「正しい設備の使い方」を啓蒙するのも大事だね。
A:僕らは、目の前で困っている入居者さんを早く日常に戻してあげたいと行動しているけれど
その先には、大家さんの収益を守るという、賃貸管理の目的があることを忘れないことが大事だよ。
トラブル時に金子がいつも考えていること
人はどうしても都合の良い様に考えがちです。修理をしたらもう大丈夫。
連絡が来ないってことは何も問題は起きていない。こんな風に判断してしまう方が多いと思います。
逆に心配性な方は心配し過ぎて作業の邪魔になってしまったり適時対応中に自分の心配事ばかり話しかけてしまい
重要な部分のやり取りができなかったりしますね。
心配するのも任せるのも常にポイントは大事だと思います。
そんな私は必ず自分にとって都合が悪くなることを
想定してその対処策まで考えるようにしております。何もなければそれで良いのです。
大事なことはしっかりと解決すること。
その解決までに無駄な時間や無駄なことにならないように意識すること。
賃貸管理はどれだけ先読みができるのか?
これだけでもファーストアプローチが変わってきます。