値上げラッシュを乗り切る方法とは︖
A、物価の上がりがスゴイですね。
食品もエネルギーも建築資材も、すべての分野で価格が上がっている。
D、まるで1974年の「狂乱物価」を思い起こすね。
あのときは前年と比べて23%も物価が上昇した。
E、この値上がりは賃貸経営にも大きく影響してますよね。
リフォーム工事にかかる費用負担が増えてるし、これからもさらに上がりそうです。
D、壁の張り替えに必須のクロス、住宅設備や建築資材が軒並み値上がっていますからね。
原状回復工事だけでなく、競争力を増すためのリフォームやリノベーションもコストアップになります。
C、私は原状回復のとき、前の借主さんの居住期間が3年以上なら
必ずクロスを新品にしていたけど、これからは考え直さないといけないのかな。
B、いや、必要な原状回復に手を抜くと、次の募集で苦労するのではないですか︖
同時期に募集しているライバル物件が常にありますからね。
A、難しい判断だよね。経費をコントロールしないと収益が減るし下手すると赤字になってしまう。
でも、値上がった分の工事をやめたら、物件の競争力が乏しくなる…。
E、家賃の値上げはできないのですか︖
契約書には家賃の値上げの条件として「経済事情の変動」と書かれているけど
今はこれに当たるのではないですか︖
A、たしかに、更新などで交渉する材料にはなりますね。
もしかしたら裁判所も、適正な値上げ幅なら認めてくれるかもしれないけど
それを嫌って借主が退去したら空室になってしまう。
次の募集が、その家賃ですぐ決まるなら値上げに踏み切ってもいいと思うけど。
E、なぜ諸物価が上がっていて、貸主の経費も増えているのに家賃を上げることができないのでしょう︖
C、それは借主の給料が増えていないからだと思います。
借主さんも所得が増えないのに、生活に必要な品目が上がっているわけですね。
それでも賃貸が貸し手市場なら、貸主側の強気の家賃も通用するかもしれませんが
平成以降から多くの地域で借り手市場ですからね。
D、さっき狂乱物価の話をしたけど
当時僕は20歳のサラリーマンで、25%も昇給したのを覚えている。
特に良い成績を挙げたわけではないのに、社員の平均給与が上がったのです。
あの時代は物価も上がったけど給料も上がったんだよねー。
A、話を賃貸経営に戻しますけど……。
この経費が増えていくときに大家はどうしたらいいのです︖
C、原価が上がったからといって、その分経費が増えるのを黙って見逃していてはダメですよね。
経費節約が重要なので、工事を行うのも慎重にすべきです。
B、私は原状回復工事にしても、競争力アップのためのリフォーム工事にしても
必要と判断したものは実施すべきと思いますよ。
ただ、その判断が重要ですね。
E、今までも不要な工事はしていなかったつもりだけど
さらにシビアになる、ということですね。
B、そうですね。私のエリアは、「借りたい」という賃貸需要より
供給の方が明らかに上回っているので、ネットや現地の内見で、とにかく選ばれなければならない。
そのためには手抜きをするのは怖いです。
C、でも物件の競争力は、リフォームだけに頼るものではないと思いますね。
家賃設定や賃貸条件の工夫もできます。
内見に来てもらったときに、共用部や貸室を綺麗にしておく、という努力もできます。
リフォームのコストが増えたなら、リフォームに頼らない空室対策を、もっと考えたいですね。
A、BさんとCさんの言っていることは、ぜんぜん対立していないと思います。
リフォーム工事は投資ですから、かけただけ物件の価値が上がり
それが家賃や稼働率に反映させることができるなら、それはやるべきでしょう。
ただし、原価が 20%、30%も上がってしまうなら
発注する工事については、その内容や見積もりについて、さらにシビアにならなければなりませんね。
一方でCさんの仰るとおり、リフォームに頼らない空室対策もありますから
こちらにもさらに力を注ぐべきでしょう。
E、家賃はどうですか︖
さっき値上げは難しいという話でしたけど。
D、こちらもシビアな家賃査定が必要だと思います。
たとえ月の家賃1,000円の差でも、4年も住んでくれれば5万円近くも収入が増えますからね。
B、適正な家賃査定というのは募集する時期によって異なると思います。
同じ地域でも季節によって賃貸需要は変化するし
募集している時に、同じ間取りタイプの物件が多い少ないによっても
決まる家賃設定が違ってきますよね。
C、適正査定は難しい話だけど
不動産会社さんとしっかり話し合って決めることですね。
A、経営コストと生活物価の両方が上がって大変な時期ですけど
皆さんのお話を伺ってみると、空室対策の本質というのは以前から変わっていないわけですよね。
工事のコストが上がったいま、それをシビアに見直して実施していくことが大事だと思いました。
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