2023年賃貸住宅業界の上半期を振り返る
週刊誌やビジネス誌に執筆するライターのA記者と不動産業者向け新聞のB記者、不動産ネットメディアの編集を手掛けるC記者の3名で、2023年の賃貸住宅業界前半のトピックスを語ってもらいました。業界通ならではのリアルな展望が語られました。
管理会社に立入検査 59社に是正指導
A今年の 1月に、国土交通省による賃貸住宅管理業法(管理業法)に伴うパトロールがあったね。2022年に法律が全面施行されてから管理・サブリース会社の実態調査をするのは初めてだった。
B国交省の発表では全国 97社に立入検査を実施して、そのうち 59社に是正指導があったようです。約 6割が何らかの指導を受けたことになりますね。
Aちょっと確率が高いかな。
C最も多かったのは、管理契約の締結時に、家賃や契約期間を記載した書面をオーナーに交付・説明する義務への指導で
文書の内容に不備があったり、保管に問題があったりしたようですね。
Aおさらいしておくと、200戸以上の管理戸数を持つ事業者は国土交通大臣へ登録が必要になった。これで、任意の登録制度しかなかった賃貸管理業に明確な基準が作られて、賃貸不動産経営管理士という国家資格も誕生した。同時に管理業者は、今回のような立入検査などを受ける義務も生まれたわけだね。
Cちなみに指導を受けた 59社はすでに是正していると国交省から発表がありました。
Bサブリース契約については3月に都内の管理会社が業務停止と業務改善命令を受けました。管理業法に基づく行政処分は初めてです。この会社はサブリース契約時に法定の重要事項説明書を交付しなかったことで、2週間の業務停止命令を受けています。
A管理業法ができたことで賃貸住宅ビジネスが社会的に認められるようになった。それと同時に責任もぐんと増したとも言えるよね。不適切な実態は監督官庁によって指導、処分がなされるし、悪質であれば社名が報じられるようになっている。
Cそれも業界の健全化への過程ととらえるべきで、オーナーにとっては良いことだと思いますね。
仲介料の土台を揺るがす値下げ圧力
B賃貸住宅仲介を巡ってトラブルに発展しているのが、仲介手数料無料をうたった不動産会社です。主に YouTubeやブログなどで、視聴者向けに節約情報などを発信していた人達が、仲介手数料が 0円もしくは家賃の 0.3 ヶ月という方式で仲介会社を立ち上げたのですが、これが波紋を広げています。
Aずいぶんと仲介手数料が安いな。
C大家さんから広告料をもらえる物件なら手数料が無料で、それ以外は 0.3 ヶ月ということのようです。一見すると薄利多売のビジネスモデルに感じますが、問題になっているのは「ユーザーがインターネットで探した物件で内見が可能なら対応する」という点です。つまり「他の仲介会社が SUUMOやアットホームに出している広告に “ただ乗り” する行為ではないか︖」という指摘があるんですね。
A不動産ポータルサイトへの掲載料は安くはないし掲載作業も手間がかかるから、仲介会社からするとたまったものじゃない、というわけだ。
Cポータルサイトの著作権を侵害する行為として非難する声もありますが、すぐに違法とはいえないのも事実のようです。
しかし、道義的責任を問う声は大きくて SNSでは「こういう人達にはうちの管理物件は仲介させない」と宣言する管理会社の代表もいました。とにかく、「少しでも安く」ということで出し抜こうとする仲介会社はトラブルの種だ、と考える業界関係者も多いようです。
Aオーナーにとっては早く空室が埋まるのが一番に違いないけど、紹介される入居者の質もあるし、トラブルが起きたときの対応も気になるよね。「部屋が早く埋まるなら、どんな仲介でもいい」というわけにはいかないかもしれない。
B仲介料の値下げ競争によって、オーナーに対する目に見えないサービスに差が広がるとしたら、それもオーナーの選択基準となるかもしれませんね。
仲介と管理について金子が思うこと
管理をしない仲介のみの賃貸屋さんは入居後のことは全く気にせず、それこそ悪質な人さえも申込時にとりあえず契約できるように指南する業者までいます。仲介手数料なんぼの世界なので仕方ありません。
仲介業はあまりにも競合他社が多いため、仲介手数料を値引いてでも決めたもん勝ちと考えている賃貸屋さんが多いようです。
管理会社は、仲介と違い賃借人さんとは長いお付き合いになります。適当な担当者も多々見受けるので会社の大小問わず、管理会社の対応が悪くてという退去理由で住み替えされる方も多いのです。
本当に対応が悪かったのか?入居時に適当な仲介業者の仲介でいい事ばかり言われていて、話を聞いてみると住んでみたら管理がしっかりしすぎて窮屈だから退去という人もたくさん出会いました。
そして賃貸管理はとても大変な業務です。
楽して適当に管理していてもトラブル起きなければ困りませんが、責任とプライドがあればかなりの重労働になる、とても手間のかかる業務です。それでいてその苦労がなかなか伝わらず色々言われることもしばしば。。。
実は経費もそれなりにかかっております。それ位サービスしてなんて安易に言われると本当にがっかりします。。。
管理会社の立場としては仲介手数料安くしてくれたら借りる。家賃交渉できたら借りる。というような人には借りて欲しくないのが正直な気持ちなんです。
致し方なくや気持ちでというやり取りはお互い様なので良いのですが、安くすることが大前提の場合、当社は最初からお断りします。経験上、入居後も色々と振り回されてその他の業務にまで影響が出てくるからです。
業務が面倒ではなくその影響でオーナーさんはもちろん、その他の賃借人さんに対する業務に支障が出てしまうからです。やるべき業務と必要ない業務は全く違うので。
よってしっかり管理業務をしている管理会社には管理報酬を払ってでも依頼するほうが絶対に良いと思いますし楽です。
しっかりやっていないところは管理報酬分もったいないのも事実です。
ただ、管理の違いってトラブルが発生しないと、なかなか気づけなかったりもします。
管理報酬の安さで管理会社を決めるよりも管理の質で決めるのが一番です。
質が分からないときは最初に依頼する前に、『気に入らなければすぐに解除できるか』を確認しておけば良いですよ。
会社の大小問わず必ずと言って良いほど契約したんだから『無理、又はペナルティがある』と、一言でまとめられてしまいます。
管理も恋愛と同じと私は考えております。
片方がさよならって言っていて、もう片方が一緒にいたいって言っても心が離れてしまっているんだから意味ないですよね。管理もさよなら言われたら受け入れる方がお互いのためだと私は思います。
そして管理会社もオーナーさんもお互いに振られない努力をして、信頼関係を構築していき安全安心の賃貸経営ができることが一番だと考えます。
現状の管理会社(担当者)の見極め方法はご連絡いただければお応えします。最近よく見かけるのですが、どこが管理会社でも仕方ないって部分も何とかしろ!ってお気持ちのオーナー様を見かけますが、無理なものは無理です。でもやるべきことをやっていない管理会社もたくさんあります。少なくともやるべきことをやっているか、自分が無理難題を言っているかはすぐにアドバイスいたします。
私たちもきっとまだまだな部分はあると思います。日々改善する努力だけは怠っておりません。大事なのは少しでも良くする気持ちだと私たちは考えております。そしてお互いの相性もあると思います。
相性と質、このバランスで判断してみてはいかがでしょうか?
現状お困りのオーナー様、これからオーナーになろうと思っている方、お気軽にご相談してくださいね。当社で相談される本当にお困りのケースには、元暴力団の生活態度の素行の悪さで困っている。と切実な悩みを2年に1件くらいの割合でお受けしています。
私は法律の前に心だと考えております。
法律で解決しようとしても本当の解決にならないと考えます。納得いく解決は、物(法律)ではなく人だと考えます。
人と人があって次に法律によってお互いが納得するようにするべきです。