賃貸業界のニュースから
「2024年問題」によって期待される宅配BOXの普及
2024年問題で宅配ボックス普及が待ったなし
2024年は宅配ボックスに注目が集まりそうです。
国交省は昨年12月に、賃貸住宅を含む様々な住宅の、宅配ボックス普及支援策を取りまとめました。
この背景には物流業界の「2024年問題」があります。
今年4月から、トラックドライバーの時間外労働に
960時間の上限規制が適用されて労働時間が短縮されることで、
輸送能力の不足が社会問題化すると言われているのです。
国交省の調査によると、届け先の留守による再配達の率は、
2023年4月調査時点で11.4%にも上り、同省は物流の負担となっている再配達を、
2024年度には6%まで減らすことを目標に掲げています。
置き配増加により盗難リスクの問題も発生
宅配ボックスが設置されていない住宅では、玄関などへの「置き配」が利用されています。
株式会社ナスタ(東京都港区、宅配ボックスシェアNo.1)の昨年12月の調査によると、
2023年に置き配サービスを利用したことがあると答えた人は67.3%あり、この数字は前年より6%増えています。
コロナ前の2019年は26.8%でしたから、確実に置き配経験者が増加傾向にあることが分かります。
一方で、玄関などへの置き配で「トラブルがあった」と答えた人は21.1%と5人に1人の割合となっています。
その内容は、「荷物が濡れた」「荷物が届かなかった(他人の家に置き配された)」などです。
ある賃貸管理会社によると盗難が疑われることもしばしばあり、
防犯カメラを確認するなどの手間が増えている現実があるようです。
また、消防関係者からは放火に繋がる可能性も指摘されています。
そこで再配達荷物を減らす策として宅配ボックスが注目されている、
というわけです。
令和5年3月に国土交通省住宅局が公表した「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、
宅配ボックスの設置率は、既存の戸建て住宅で17.6%、既存のマンションで50.2%、
賃貸住宅で34.2%となっていますが、調査した地域が三大都市圏であり、
サンプル数も多くないので、実態を正確に反映しているかは不明なところがあります。
全国の賃貸住宅での普及度は、この資料の34.2%よりも低いのではないかと、
個人的には推測しています。
埼玉県川口市では、
2024年4月から市内で新築されるワンルームマンション(40㎡未満で15戸以上)に対し、
宅配ボックスの設置を義務付ける「ワンルームマンション建築・管理条例」の
改正案が昨年12月に提出されました。
他にも同様の条例が検討されている自治体もあり、他地域でも義務化が広がるかもしれません。
設置スペースの確保と費用が大きな課題
宅配ボックスを設置するには、費用や設置スペース、
設置後の管理など検討課題が多くあります。
宅配ボックスは大きくわけて、ダイヤル式とデジタル式の二つがあります。
ダイヤル式は10万円から60万円ほど、
デジタル式は50~100万円以上のものが多いようですが、
収納数やサイズによって大きく異なります。
メーカーや管理状況によっても違うのですが、
全部屋数(利用世帯数)の20~30%くらいの戸数分が必要なようです。
ダイヤル式は費用が安く、設置も比較的に簡単なようですが、SNSで利用者の声を調べると、
「荷物が届いたことに気が付かない」 「故障が多い」という不満も見られました。
しかし、比較的安価にオーダーメイド制作してくれるメーカーもあるようで、
エントランスのスペースが小さくても設置できる可能性は高そうです。
デジタル式宅配ボックスは、
電子制御で管理するタイプで暗証番号や非接触型キーなどで
簡単に解錠が可能な点が便利と評価されています。
オーダーメイドは無く、
小型のものでも奥行き1m、横幅は1~2mの設置スペースが必要になるようです。
国や自治体が設置費用を補助する動き
設置費用は国交省からの補助金が期待できます。
①「子育てエコホーム支援事業」は補助額が1万1,000円(1戸当たり、住宅省エネ改修と併用工事のみ)
②「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」は工事費用の3分の1(上限額は1戸当たり50万円まで。
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅に限る)などです。
補助金を出す自治体もあります。
青森県八戸市では昨年12月から宅配ボックスの設置費用の
3分の1(上限30万円)を補助する制度を始めました。
他にも全国の自治体で独自に補助金を出す動きがあるようです。
また住宅ポータルサイト「アットホーム」が発表した、
2023年上半期の「不動産のプロが選ぶ 問い合わせが多かった条件・設備 ~賃貸編~」
によると、宅配ボックスが6位にランクインしました。
これは追い焚き機能(7位)、モニタ付きインターホン(8位)よりも上位です。
賃貸のターゲットである若年層を中心にネット通販が普及していて、
宅配ボックスは人気設備から、あって当たり前の設備になる、との見方もあります。
「2024年問題」などの社会的なニーズの高まりとともに、
多くの入居者からも選ばれる設備として注目されているようです。
一つひとつに工夫が大事
宅配ボックスのように設備を充実させるだけで、賃貸運営は充実するのか?
どんなに設備を整えてもそれだけでは難しいのでは?と思っています。
私のその物件ごとに求められているニーズをしっかり掴むことが大事であり、
周りに合わせすぎるのは危険だと考えております。
住んで欲しいターゲットと賃貸物件の条件がどれだけマッチするか。
私はこれに尽きると思います。
理想と現実、現実逃避をせずにやるべきことをやる。そして賃借人、
賃貸人の双方が感謝の気持ちを持てる。
そんな賃貸運営がお互いを幸せにするのではないでしょうか?
自分本位な方が増えた今だからこそ、
相手を思いやれる気持ちを持てればそんな人たちが集まる賃貸物件になり、
お互いが住みやすい環境になるのではないかと金子は思います。
最近は区分所有物件の売却が増えました。
ファミリータイプの賃貸運営を中心にされる方が当社には集まります。
ファミリータイプは長いお付き合いになることが多々あります。
そうであればやはりお互いに感謝の気持ちを持ちあえるのが一番良いですよね。
金子は利回りよりも安定性をおススメしております。
賃貸管理や不動産売却でお困りの方は私まで直接相談してくださいね。
良きご提案をさせていただくことをお約束いたします。