差し押さえと仮差押え
差し押さえって聞くとなんだか怖いですよね!
差し押さえは税金の滞納等で財産の差し押さえをすることなのですが
仮差押えってなにって思いますね。
仮なんだから心配しなくても大丈夫でしょ?なんて安心していてはダメですよ!
差し押さえは債務名義が必要ですが、仮差押えは債務名義がなくても良いんです。
債務名義?
債権の存在 債権の範囲 債権者 債務者
を相手に対して証明する公的文書です。
強制的に差し押さえをするには債務名義が必要になります。
一例として
確定判決 仮執行宣言付判決 仮執行宣言付支払督促 和解調書・調停調書
などがあります。
簡潔に表現すると差し押さえをする相手方に対して
差し押さえできる債権を確かに有していることを証明しているということです。
債権回収に協力的な場合は公正証書等で比較的簡単に取得できますが
トラブルの場合は民事訴訟で確定判決を得て取得することになります。
なんだか聞きなれないことばかりですね。
これに対して仮差押えとは簡単に言うと差し押さえ前に
財産が処分されてしまうことを防ぐために行うことです。
差し押さえには訴訟等による債務名義が必要になります。
訴訟はそれなりの時間を要するのでこの訴訟の判決が出る前に
相手方が財産を処分してしまっては困るので
このように処分されることを防ぐためにします。
この仮差押えも簡単ではありません。
まず供託金が必要になりますし
申し立てが裁判所に認められるとも限りません。
よって仮差押えが本当に良いのかは弁護士に相談して判断を仰ぐのが良いのかなと考えます。
なぜ供託金が必要?
実は仮差押えしたからと言って必ず自分が正しかったということにはなりません。
裁判で負けることもあります。
負けた場合は相手方に仮差押えによって被った損害を
債務者は債権者に請求することができます。
この損害賠償を担保するために供託金が必要になります。
ちなみにこの仮差押えをするのに相手方に回収できるだけの
財産があるのかの調査が必要になります。
この財産調査も一般の人には難しいものとなります。
そしてこの仮差押えはスムーズに手続きできれば一週間程度でできてしまうので
気が付いたら仮差押えされてたとなります。
仮差押えになると勝手に財産処分ができなくなるので
債務者にとっては相当なプレッシャーになります。
このことによって債務者は交渉に応じるようになって
裁判の判決前に和解で解決することもあります。
仮差押えに必要な費用として
収入印紙代2000円
郵便切手代が債権仮差押えが約3000円程度
不動産仮差押えが約2000円程度
です。
裁判所ごとに異なることもあるので予め確認しておくと良いですね。
そして供託金は債務者へ請求する金額の2~3割が目安になります。
具体的に手続きするには
財産の特定をして提出書類を作成するのですが
作成書類は
申立書
当事者、第三債権者の資格証明
の他に大切なのが疎明資料です。
この疎明証明とは裁判官に対して債権者が確かに債権を有していることだと
必要性を認めさせなければならないものなのです。
疎明証明とは具体的に
債務者と交わした契約書
約束手形
債務者に送った内容証明郵便
陳述書等です。
用意するだけではなく裁判官に対してわかりやすく作成するかで
仮差押えが認められるかどうか左右します。
裁判所に申し立てをすると書類審査と面接が行われます。
そこで申立人の主張が正当かどうかを確認します。
この審査は債務者には内密に行われるので債務者へ対する尋問のようなものはありません。
供託金の決定と支払
この時点で裁判所より供託金の額が決められます。
その決められた金額を法務局に供託し
供託所に
当事者目録
債権者目録
仮差押え再建目録
債権者あての封筒を提出します。
仮差押えが決定すると裁判所から債務者に決定書が送られます。
仮差押えの執行は
不動産の場合・・・仮差押え登記をします。
動産の場合・・・裁判所の執行官が目的物を差し押さえます。
このように行われます。
とても難しいですよね。
ですから仮差押えは素直に弁護士に相談するほうが良いかと思います。
仮差押えがされると債務者は裁判所に対して
債権者に裁判の定義を命じるように申し立てることができ
その場合、債権者は一定期間中に裁判を定義しなくてはなりません。
仮差押えをされた債務者は裁判所に対して
仮差押えの取り下げや変更を求めることができます。←保全異議の申し立てと言います。
保全異議の申し立てとは
仮差押えを受けた債務者が裁判所に申し立てることにより
仮差押え命令を出した裁判官とは別の裁判官により
仮差押えが正当であるかの審査を改めて求めるものの事を言います。
保全異議の申立てを受けると裁判所は
仮差押えを取り消す
仮差押えの範囲や金額を変更する
仮差押えを再び認めてそのまま続行する
のいずれかを決定します。
この審査は当事者双方が立ち合いの元
1~数回行われ決定され
その決定に不服があるときは上級裁判所に抗告できます。
このように仮差押えはする方もされる方も大変です。
特に債務者はされたら財産処分ができずに大変困ります。
仮差押えをされる段階まで来たときは不動産に強い弁護士さんに早めに相談しましょう!